BCP(事業継続計画)の説明責任を果たすために何をすべきか?

2012/10/01

去る2012年9月6日(木)に赤坂見附のALSOK本社で開催された「第2回BCPセミナー」で株式会社インフォセック プリンシパルコンサルタントの松本照吾(コンサルティング本部)が「東日本大震災後、企業にもとめられるもの」と題し、事例を交えながら企業が捉えておくべきBCPの概念や考え方を紹介し、アカウントマネージャの中澤一聡(営業本部)よりBCP策定のための集合研修プログラムを紹介した。

プログラムの最初はALSOKの震災対策プロジェクトで被災地の復旧・復興に携わってきた岩泉氏が「東日本大震災後1年、ALSOKの活動」と題し、被災地の震災直後の生々しい状況と現在の復旧状況を写真で紹介した。被災地のほとんどで瓦礫処理は済んでいるものの、建築物の再建条件として2m以上の嵩上げなど厳しい建築規制、住民の集団移転など、現在も更地のまま復旧の目途が立っていない地域が依然として多く残る一方、海に隣接し被害が甚大だった仙台空港に7月末に国際線が再び就航したニュースは記憶に新しい。また、仮設ではあるが気仙沼港の魚市場の再開、石巻港工業地区での店舗、事業所再開と震災前の状況に戻りつつある地域も増え、復旧状況は地域によって大きな差が出ていると説明した。 さらに、震災直後は水や食料などの生命維持活動に関わる物資が必要とされたが、3週間程経過するとガソリンなどの燃料不足、治安悪化への懸念と変化し、一か月経過する頃には被災前の事業を再開するための場所の確保や震災で喪失したデータの復旧等、被災者の必要としているものが時間の経過とともに変化したと説明した。

インフォセック・松本の講演は「企業におけるBCP対策~今、求められること~」と題し、企業の地震対策に対する現状の整理から始まった。

東日本大震災以降の倒産件数は関東地方が最も多く、直接に地震の被害をうけていない間接被害による倒産が多いことに特徴がみられた。また、近い未来に起こると予想されている首都圏直下型地震においては、企業の心臓部となる指示命令系統が多数設置されている首都圏を中心に甚大な被害が出るとされているため、日本各地に点在する支社や、子会社、サプライチェーン等への指示が不可能となり、広大な地域の経済活動に甚大なインパクトを与えると想定されている。また、規模の大きなリスクの発現には、個別の会社のみの対策では限界があり、共通言語を用いて、連携した対応を行う必要が叫ばれていることを強調した。

日本は地震大国であり世界一の震災対策が講じられている国家として防災計画や消防計画など【被災時の安全確保】に対策が講じられているが、現在、企業に求められていることは【被災時の安全確保】の対策で留まることではない。 つまり、混乱から早期に回復し、自分たちの被害状況を把握、場合によっては【他組織からの要請】に応え、計画停電などの2次被害が想定された被災状況下においても【企業活動を続けていく】ことを目的とした対策である。災害を避けること自体は困難であるが、企業の生産活動を短時間で通常に復旧させ、被災状況下の中で組織としてどのように行動するかという戦略をBCPとして組織に位置づけることが求められていると説明した。

また、BCPの主要な目的は取引先等への説明責任であり、「現時点では発生していないリスク」への対策に対して取引先の信頼を勝ち得る方法は単なる文書化ではなく、訓練や演習を通じた実効性の担保であると説明した。例えば、ある企業のサプライチェーンに入っているのであれば、もし災害発生後2週間以内に復旧できるか?と親会社に問われた場合「当社は○○が出来るから2週間で復旧できます」という回答が求められ、更にその対策が計画通りに稼働するかどうかの説明責任も求められているのである。

自社の対策が「絵に描いた餅」にならないようにするためには、日々の企業活動の中でBCPの実践や意識付けが着実に行われることが重要となる。すなわち、日頃の研修・訓練・演習などを経て、マニュアルを見ずとも、誰かに指示をされずとも行動ができて初めて対策の妥当性に根拠を与えることが出来るとし、他組織との連携が可能になるとしている。

東日本大震災以降、行政機関からBCPに関する雛形やマニュアルが多数発行されていることも後押しとなり、多くの企業でBCPや事業継続計画という名のつく文書が多く作成されるようになった。しかし、現状の計画が自社にマッチしているのかどうか、次のステップとして自分達がどのような対策・戦略を立てるべきなのかなど、BCPの構築・見直しやBCP担当者の能力向上は大きな経営課題となっているのが現状である。これらの経営課題に早急に対応できるようになるための手助けとしてALSOKとインフォセックが共催する「BCP集合研修」を最後に紹介し、セミナーを締めくくった。

※【BCP集合研修】についてのお問い合わせ先
  株式会社インフォセック 営業本部 中澤
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