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2010/11/22米国クラウド先進企業視察レポート

2010年10月25日から30日にかけて、中部産業連盟様主催「米国クラウド先進企業視察団」に参加してきました。今回の視察団は13名。ソフトウェア開発に携わる方、小売ビジネスの中でクラウド利用を検討される方、私のようにコンサルタントとしてお客様のサービスを支える立場等、既にサービスとして取り組んでいるケースや、これからどのように取り組むべきかを考えているケース、そしてクラウドとは何かを理解しようとしているケース等、様々な立ち位置の方が参加されたため、実際の視察のみでなく、その後の夕食等でも活発な議論が交わされていました。
 

■ 訪問企業:
今回の訪問企業はマイクロソフト、ヒューレット・パッカード、セールスフォースドットコム、VMWareと、どの会社も米国および全世界にてクラウドコンピューティングに基づくサービスを提供する先進企業となります。
マイクロソフトやヒューレット・パッカードはITの発展の歴史で培った自社の技術を発展させた企業であり、一方、セールスフォースとVMWareや、クラウドサービスの基礎となる技術や概念を軸に会社として急速に発展を遂げた企業ということで成長過程も異なりますが、各社とも自社の強み(マイクロソフトであればOfficeやWindows等の従来提供してきたサービス、セールスフォースであれば発展の基礎となったSaaSソリューション等)を明確に意識した上で、真剣にビジネスとして成長させようと意欲が感じられました。

本報告では各社での個別の視察内容をお伝えすることは困難ですが、いくつかのキーワードをもとに視察の報告にかえたいと思います。


■ セキュリティに対する透明性:
クラウドサービスに対する利用者の主たる不安として、セキュリティに対する不安があげられます。
今回の視察企業では、利用者に自社のセキュリティの取り組みを示すものとして、ISO/IEC27001やSAS70への取り組みを掲げていました。
また、ユーザからの第三者監査に対する要請への受入れなど、クラウドサービスにおいて“セキュリティの透明性”が利用者の信頼を勝ち得る重要な要素であると認識していたことが印象的でした。
今後、日本でクラウドサービスが展開する中でも、第三者からの開示要求や監査要求にどのように取り組むかは多くの事業者の課題となっていくことが想定されます。
実際に私も過去SaaS事業者のクラウドサービス監査に携わっておりますが、サービスビジネスとしてクラウドが発展する上では、利用者と事業者が信頼を構築していくための十分な材料を整えることが必須条件です。
利用者の力だけでは把握できない事業者の実情を“見える化”し、ともにサービスを改善していくために、“監査”は有力なツールであると言えるでしょう。


■ クラウド移行のステップ:
自社システムのクラウドへの移行というテーマに対し、今回の訪問企業からは、ワークショップやコンサルティングを通じて、プライベートクラウドをステップに影響の少ない業務からクラウドのビジネス利用を開始し、需要の増減等の対応に基づき、適宜パブリッククラウドを利用可能な環境を整えていくことが提唱されていました。
日本ではクラウドの利用が実質的なコスト削減につながらないといった声がしばしば聞こえます。プライベートクラウドである必要はどの程度なのか、環境構築に必要なコストや運用に必要なコストなど、様々な面を検討するとともに、どのようなステップでクラウドの利用範囲を考えるべきかといったことも、益々必要な議論となっていくように思われます。

■ 運用のコストを削減し、本業に集中:
実際に米国ではクラウドの進展により、ユーザ企業のIT部門の役割変化が始まっており、“運用するための維持コスト”を、“より能力のある人間を組織として必要な仕事”にシフトさせることがこれからの企業にとって有益であるとのコメントが得られました。こうした方向性が日本国内でも加速すると、従来の“情報システム部門”は企業内における役割を大きく見直す必要が生じることが予想されます。
また、システム開発の方法論としても、クラウド上のシステム開発では、モジュール化やコンポーネント化(一からシステムを開発するのではなく、用意された部品をくみあわせてシステムを構築する)を促進した新しい開発手法が提示されていました。日本のソフトウェアベンダーでもクラウド自体の新しい開発方法論にどのように対応すべきかを考える必要があるかもしれません。


■ 最後に(謝辞):
本視察において貴重な情報の提供およびお時間をいただいた各社のご担当者様、開催に貴重な尽力をいただいた、中部産業連盟、通訳及び旅行会社アシスタントの皆様、そして楽しいお時間を共に過ごした視察団の皆様に末筆ながら感謝申し上げます。

- 執筆者 -
株式会社インフォセック
コンサルティング本部 プリンシパルコンサルタント 松本照吾

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